子どもの歯並びが気になるとき、多くの親御さんがまず検討するのが矯正治療です。中でも、透明で取り外しが可能な「マウスピース矯正」は、見た目に配慮しながら歯並びを整えられる方法として検討されています。しかし、成長過程にある子どもには適応できる年齢や治療方法に制限があり、すべてのケースでマウスピース矯正が選べるわけではありません。
今回は、子どものマウスピース矯正について、ワイヤー矯正との違いから、年齢別に適した種類、選び方や注意点まで詳しく解説します。お子さまの歯並びに悩んでいる方は、治療選択の参考にしてください。
1. 子ども向けマウスピース矯正とは?ワイヤー矯正との比較
子ども向けのマウスピース矯正は、透明な装置を使って、成長段階に合わせて歯並びや顎のバランスを整える矯正方法です。お子さまの見た目への配慮や痛みへの感じやすさで、近年ではワイヤー矯正に代わる選択肢として検討されています。以下に、従来のワイヤー矯正と比べた違いをまとめました。
➀装置が目立ちにくい
透明なマウスピースは、口元を気にしやすい年頃のお子さまにとって、目立ちにくいという特徴があります。学校や習い事でも自然な見た目で過ごすことができ、見た目を気にするお子さまにも配慮された設計です。
➁取り外しができる
食事や歯みがきの際に取り外しができます。歯みがきがまだ上手にできない年齢の子どもでも、保護者のサポートで衛生的に管理しやすくなるかもしれません。
➂装着時間の管理が必要
取り外しができる反面、1日20時間以上の装着が必要です。自己管理が難しいお子さまの場合、保護者の声かけやスケジュール管理が欠かせません。
2. 子どもの年齢別にみるマウスピース矯正の種類
子ども向けのマウスピース矯正は、成長段階に応じて目的や装置の種類が異なります。それぞれの時期に応じた治療法を紹介します。
➀乳歯期(5〜7歳)に行う早期予防矯正
この時期は、歯並びが悪くなる原因を取り除く「予防矯正」がメインとなります。既製品としては、プレオルソ(筋機能訓練を兼ねたソフトなマウスピース)やムーシールド(反対咬合の改善に用いられる装置)といった装置が代表的で、顎の発達にアプローチしたり、噛み合わせの癖を改善したりすることが目的です。就寝時や日中に数時間装着します。
➁混合歯列期(7〜12歳)に行う機能的矯正
乳歯と永久歯が混在するこの時期は、成長を利用した矯正が行いやすいとされるため、治療開始を検討しやすい時期です。歯列の幅を広げて永久歯の生えるスペースを確保したり、骨格のバランスを整えたりします。代表的な装置には「インビザライン・ファースト(子ども向けに設計されたマウスピース矯正)」などがあります。
➂永久歯列期(12歳以降)に行う本格矯正
すべての永久歯が生え揃ったあとは、大人と同様のマウスピース矯正が行えます。この段階では歯の位置を整えるだけでなく、噛み合わせも細かく調整することが可能です。治療期間は平均して1年半〜2年ほどとされていますが、個人の歯並びや治療内容により大きく異なります。
④習癖の改善を目的とした装置
指しゃぶり、口呼吸、舌の癖などの悪習癖が原因で歯並びに影響を及ぼしている場合には、専用のマウスピースでこれらの癖の改善を目指すことがあります。成長期にこれらの癖を取り除き、今後の歯並びにつなげることを目指します。
➄年齢ごとの通院管理と保護者の関与が重要
低年齢ほど保護者の協力が不可欠です。装置の装着状況や清掃管理、通院のスケジュール管理など、家族全体で取り組む姿勢が大切です。
3. 子どものマウスピース矯正の注意点
子どものマウスピース矯正をスムーズに進めるには、以下のポイントに注意することが大切です。
➀装着時間の徹底管理
1日20時間以上の装着が基本です。学校や塾、習い事などの生活スタイルに合わせて、装着できるよう保護者の声かけや工夫が重要です。
➁装置の紛失や破損に注意
取り外し可能なため、子どもが紛失してしまうケースもあります。外した際は必ず専用ケースに保管する、持ち歩くときはポーチに入れるなどのルール作りをしましょう。
➂清掃と衛生管理の徹底
毎日マウスピースを洗浄し、清潔に保つことが必要です。熱湯や歯みがき粉はNGで、専用の洗浄剤やぬるま湯を使用しましょう。お子さまだけでの管理が難しい場合は、保護者のフォローが大切です。
④治療後の保定期間も大切
矯正終了後には歯並びを維持できるように「リテーナー(保定装置)」を使います。この保定装置の使用を継続しない場合は、歯の位置が変化してしまう可能性があります。きれいな歯並びを維持するためにも、保定期間中の管理が重要です
4. 恵庭市の歯医者 ライオン歯科クリニックの小児矯正
恵庭市の歯医者 ライオン歯科クリニックでは、お子さん一人ひとりに合った矯正治療を行っています。初診時には検査を行い、お子さんの顎の成長や歯並びの状態に応じた治療方法をご案内しています。
小児矯正は成長期に合わせた対応が重要です。タイミングによって治療内容が異なる場合があるため、歯並びに関して気になることがあれば、早めの相談が望ましいでしょう。
治療方針により費用は変わることがあります。ご相談のうえ、各ご家庭の状況に合わせた治療法を検討しています。
目立ちにくさに配慮した矯正装置の使用にも取り組んでおり、マウスピース矯正は高価なため、最近では帰宅後から使用できる装置を提案することが多いです。取り外しが可能な「床矯正装置」をはじめ、必要に応じて奥歯に装着する固定式の装置も用います。また、顎の成長をコントロールする装置として、MPAやチンキャップ、ヘッドギアなどの取り外し式装置を自宅だけで使用することもあります。
矯正用マウスピースはさまざまなメーカーから提供されておりますが、当院では国内の技工所で製作されるものを使用しています。透明で取り外し可能なため、使用中の見た目にも配慮されています。
永久歯が生えそろった方を対象としたマウスピース矯正では、状態に応じて治療を検討しています。
お子さん一人ひとりの成長や歯並びの状況をふまえながら、長期的な視点で矯正プランを立てていきます。
まとめ
子どものマウスピース矯正は、見た目や痛みに配慮された設計です。しかし年齢や成長段階に応じた適切な判断が求められます。種類や特徴を理解した上で、歯科医師と共に選択しましょう。マウスピース矯正は自己管理が必要な面もあるため、保護者の関与も治療の上で大切です。
恵庭市、千歳市、北広島市および周辺地域で矯正治療についてお悩みの方は、ライオン歯科クリニックまでお問い合わせください。
監修:ライオン歯科クリニック
歯科医師/院長 土肥和成