近年、目立ちにくく取り外しができるマウスピース矯正は、子どもの矯正治療の選択肢として検討されています。一方で、治療の過程で「子どもが痛みを訴える」とお悩みの保護者の方もいらっしゃいます。成長段階にある子どもの場合、痛みの感じ方やその原因は大人とは異なることがあります。
今回は、子どものマウスピース矯正で痛みが生じる主な原因やタイミング、家庭でできる対処法についてご紹介します。
1. 子どものマウスピース矯正で考えられる痛みの原因
マウスピース矯正は、一般的に弱い力で歯を動かしますが、まったく痛みがないわけではありません。特に子どもの場合、歯や骨が発育途中であるため、痛みを感じやすい傾向があります。
➀歯の移動による圧力
段階的に歯を移動させるマウスピース矯正は、常に少しずつ力が加わる仕組みです。この圧力が歯の根や周囲の組織に影響し、一時的に痛みを感じることがあります。
➁マウスピースの装着直後の違和感
新しいマウスピースを装着したばかりの時期には、歯にフィットしないような違和感があり、それが痛みとして現れる場合があります。
➂歯茎や粘膜への刺激
マウスピースのふちが歯茎や口の内側に当たると、擦れて軽い炎症や痛みが生じることがあります。歯の生え変わりの時期は粘膜が敏感になっているため、刺激を受けやすい状態です。
④噛み合わせの変化
マウスピース矯正によって歯並びが変化すると、噛み合わせも変わります。この変化が一時的に咀嚼のバランスを崩し、痛みとして感じられることもあります。
⑤むし歯や炎症など別の口腔トラブル
痛みの原因が矯正治療によるものではなく、むし歯や歯肉炎などの他の口腔内トラブルであるケースもあります。矯正中は清掃がしづらくなることもあるため、注意が必要です。
子どもが「痛い」と訴える背景には、成長過程ならではの複数の要素が絡んでいる可能性があります。歯科医師による適切な判断と対応が大切です。
2. 子どものマウスピース矯正、どんな時に痛みを感じる?
痛みの感じ方は子どもによって個人差がありますが、特定のタイミングや状況で痛みが生じやすい傾向があります。治療の進行に合わせて、保護者が痛みの出やすい場面を知っておくことで、子どもの対応をしやすくなるでしょう。
➀新しいマウスピースに交換した直後
マウスピースは1〜2週間ごとに交換するのが一般的な目安です。新しいものに変えた直後は歯の動きを促すための力が加わり、痛みを感じやすくなりますが、多くの場合、数日で落ち着きます。
➁装着時間が足りない場合
装着時間が不足すると、再装着時に歯が元の位置に戻ろうとするため、強い力がかかり痛みが感じやすくなります。推奨されている装着時間(1日20時間以上)を守ることが大切です。
➂歯の生え変わり時期
混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期)は、自然な歯の動きに加えて矯正力がかかるため、痛みを感じやすくなります。特に前歯の生え変わりや奥歯の萌出時は注意が必要です。
④噛みしめや歯ぎしりの癖があるとき
強く噛みしめる癖がある場合、マウスピースを介してその力が集中し、痛みを伴うことがあります。夜間の歯ぎしりも同様です。
➄長時間マウスピースを外していたとき
旅行や体調不良などで長くマウスピースを外したあとに再装着すると、歯が戻ろうとする動きが加わり、痛みを感じやすくなることがあります。
痛みのタイミングを把握し、子どもの様子を観察しながら必要に応じて歯科医師に相談しましょう。
3. 子どものマウスピース矯正の痛みへの対処法
子どもが矯正中に痛みを感じたとき、保護者としてどのような対応をすべきか迷うこともあるでしょう。無理に我慢させるのではなく、原因に応じた対処法を取ることが大切です。
➀冷たいタオルや保冷剤で冷やす
頬の外側から冷たいタオルや保冷剤で軽く冷やすことで、炎症や腫れがやわらぐことがあります。氷は直接当てず、布などで包んで使用しましょう。
➁柔らかい食事を用意する
噛むことがつらい場合は、スープや豆腐、おかゆなど、やわらかく負担の少ない食事を用意するとよいでしょう。
➂マウスピースを確認する
装置のふちが歯茎などに当たっている場合は、マウスピースが合っていない可能性もあります。そのまま使い続けると傷になることもあるため、歯科医師に相談しましょう。
④歯科医院へ相談する
痛みが長引く、あるいは異常を感じる場合は、早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。見えない部分に問題があるケースも考えられます。
⑤日常の装着時間を安定させる
装着時間が安定しないと、歯の動きが不安定になり痛みの原因となることがあります。忘れずに装着できるよう、生活習慣での工夫も大切です。
子どもの痛みへの対応は、小さなサインを見逃さないことも大切です。
4.恵庭市の歯医者 ライオン歯科クリニックの小児矯正
恵庭市の歯医者 ライオン歯科クリニックでは、お子さん一人ひとりに合った矯正治療を行っています。初診時には検査を行い、お子さんの顎の成長や歯並びの状態に応じた治療方法をご案内しています。
小児矯正は成長期に合わせた対応が重要です。タイミングによって治療内容が異なる場合があるため、歯並びに関して気になることがあれば、早めの相談が望ましいでしょう。
治療方針により費用は変わることがあります。ご相談のうえ、各ご家庭の状況に合わせた治療法を検討しています。
目立ちにくさに配慮した矯正装置の使用にも取り組んでおり、帰宅後から使用できる装置を提案することもあります。取り外しが可能な「床矯正装置」をはじめ、必要に応じて奥歯に装着する固定式の装置も用います。また、顎の成長をコントロールする装置として、MPAやチンキャップ、ヘッドギアなどの取り外し式装置を帰宅後に自宅だけで使用することもあります。
矯正用マウスピースはさまざまなメーカーから提供されており、当院では国内の技工所で製作されるものを使用しています。透明で取り外し可能なため、使用中の見た目にも配慮されています。
永久歯が生えそろった方を対象としたマウスピース矯正では、状態に応じて治療を検討しています。
お子さん一人ひとりの成長や歯並びの状況をふまえながら、長期的な視点で矯正プランを立てていきます。
まとめ
子どものマウスピース矯正では、歯の移動や生え変わりの影響などによって一時的に痛みが出ることがあります。成長過程にあるからこそ、痛みへの対応は丁寧に行うことが大切です。ご家庭や歯科医師の指示に従い、家族で協力して無理なく治療を続けていきましょう。
恵庭市、千歳市、北広島市および周辺地域で、で子どもの矯正治療についてお悩みの方はライオン歯科クリニックまでお問い合わせください。
監修:ライオン歯科クリニック
歯科医師/院長 土肥和成